【菅地元】神奈川県、ワクチンが優遇されてしまう　ふしぎ！

　神奈川県は八日、新型コロナウイルスワクチン八百六箱が十九日と二十六日の週に県内三十二市町村に配送されると発表した。全国平均は希望の三分の一にとどまる中、希望の六割が配分されたとして、県は「優遇された」とする。ただ、希望より少なかった自治体からは不安といら立ちの声が出ている。（志村彰太、曽田晋太郎、村松権主麿、杉戸祐子、石原真樹、西岡聖雄）
　県によると、ワクチンは一瓶六回接種の換算で一箱に千百七十回分入っており、今回の配分数は九十四万回分に当たる。これまで配送が決まった分と合わせ、県内の十二～六十四歳の六百二万人のうち約三割が一回接種できる量になる。

　全国平均を上回る割合で配分されたのは、横浜、川崎、大和、綾瀬、松田、開成の六市町が国から「在庫が少ない」と認められたためという。横浜市は希望量の９５％の三百五十七箱、川崎市は７５％の百三十八箱が配分された。清川村は「村民全員分を確保済み」（村担当者）として希望しなかった。
　横須賀市は希望数百二箱に対し、配分されたのは二十二箱だった。十二日以降、六十四歳以下を六つの年代に分けて接種券を順次発送し、それぞれ基礎疾患のある人の優先予約後、基礎疾患のない人も予約できる計画だったが、各年代とも基礎疾患のある人しか予約できなくなった。
　担当者は「次の年代への接種券発送時期も、予約やワクチン供給の状況をみて判断せざるを得ない」と話す。

　大磯町は八月と九月上旬までの集団接種日時と場所を既に公表している。担当者は「公表通りに接種を行えるか心配。集団接種の日程が変われば医師を含め、人繰りが大変になる」と心配する。
　松田町は六月下旬から六十四歳以下の接種券を発送しているが、担当者は「中高生も接種できる夏休み期間にワクチンがどう届くのかが分からない」と不安を口にした。
　県から重点的に配分された横浜市も悩みを抱える。多くの市町村が二回接種分を一セットとして在庫管理する中、「配送された分をすぐ接種に回している」（担当者）として「自転車操業状態」になっているため。五日に予約受け付けを始めた基礎疾患のある六十四歳以下への接種に影響はない。ただ、今後はワクチンが十分に届かないと影響が出かねない。
　担当者は「医療機関に接種のペースを落としてもらうよう、お願いするかもしれない」と話した。

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