アメリカ、いままで「キモい」といって捨てていた「内臓肉」がインフルエンサーのおかげでトレンディに 肝心腎脾膵臓スムージーなど

「牛の内臓入りスムージー」も…　米国の奇妙な「ホルモンブーム」の行方─“キモイ”から一転、なぜ突然“人気者”に？（クーリエ・ジャポン）
https://news.yahoo.co.jp/articles/41199ac87d982cb14d05706a00850e96310cc877

2024年、ロサンゼルスの高級スーパー「エレウォン」で、世にも奇妙なスムージーが発売された。

【動画】「牛レバー入りスムージー」の作り方
https://youtu.be/3IoWFtmnqiY

「生の動物性スムージー」と題されたそれには、調理されていない牛の肝臓、心臓、腎臓、脾臓、膵臓をフリーズドライして粉末状にしたものと、低温殺菌されていない牛乳、そしてブルーベリーやバナナ、生ハチミツなどの一般的なスムージーの材料が入っており、さらにはホイップしたココナッツクリームと、粉末状の牛の初乳（分娩から数日間、母牛から分泌される乳汁で、高栄養とされる）がトッピングされている。

エレウォンはこれまでも、ヘイリー・ビーバーやベラ・ハディット、ケンダル・ジェンナーといった女性セレブたちとコラボし、ガーリーでヘルシーなイメージのスムージーを発売してきた。しかし、この「生の動物性スムージー」は、さまざまな内臓肉関連の商品をプロデュースしている、自称「ミート（肉）フルエンサー」の男性医師、ポール・サラディーノとのコラボによるものだ。

値段はなんと19ドル（約2700円）。英紙「ガーディアン」の記者が試しに飲んでみたところ、それは「酸味があってクリーミー。ブルーベリーの味がして、とても美味しかった。粉末状にしたレバーの味を感じられないかと思い、もう一口飲んでみたが、バナナの味しかしなかった」という。味はおおむね好評のようだ。

内臓肉は「トレンディな食べ物」

米国では長きにわたり、動物の内臓肉は「気持ち悪いもの」として不人気でありつづけてきた。内臓肉に関する著書もある、米海軍士官学校の教授マーク・マクウィリアムズは、多くの米国人が内臓肉を「禁じられた、馴染みのない」ものと見なしていると米誌「アトランティック」に語っている。

ところが近年、この状況が変わりはじめた。肉食ダイエットやパレオダイエット（旧石器時代の食生活を真似た食事法）、あるいはそれらに類似した食事法を喧伝するサラディーノのようなインフルエンサーたちが、動物の内臓肉がいかに栄養豊富であるかをSNSで説きはじめたのだ。

その結果、健康に関心が高い一部の人々のあいだで、動物の内臓肉が突如としてもてはやされるようになった。米国の大手スーパー「ホールフーズ・マーケット」で精肉部門を統括するビクトリア・フィッツジェラルドは同誌に対し、こうしたインフルエンサーたちの投稿が、実際に人々の食生活に影響を与えていると話す。

2020年、ホールフーズは冷凍の内臓肉ミックスの販売を開始した。以来、売り上げは毎年3桁成長を遂げている。マイアミとオースティンの一部店舗では、ホールフーズで一番人気の内臓肉製品であるフォース・オブ・ネイチャーの「牛レバーとハツ入り挽肉」が、他の冷凍の肉製品と比べて15倍の売れ行きを見せている。

また、米国のオーガニック系スーパー「ナチュラル・グローサーズ」は、内臓肉を2025年のトップトレンドに挙げている。