ダルビッシュさん、韓国のファン宅を電撃訪問

　李さんは自身のダルビッシュ投手への思いをブログやSNSで発信するようにもなった。ハンドルネームは「月光光子」。「ダルビッシュ」と韓国語で「月光」を意味する「タルビッ」の発音が似ていることから、ファンの間では「月光」と表現されることがあるためだ。

　ある時はダルビッシュ投手のX（ツイッター）アカウントに直接、投げ方について質問をし、本人から返信をもらった。16年にダルビッシュ投手が自身が使用しないグラブについて投稿すると、すかさず「頂けたら大事にします」とコメント。「プレゼントする」と直接連絡が来た後、郵送で李さんのもとまで送られてきたという。

　また、その年は米国まで試合も見に行った。招待チケットをもらっていたが、内野席のチケットを自前で別に購入。ブルペンでの練習を見に行った。感動のあまり「泣いてしまった」。ダルビッシュ投手とは目が合わなかったが、李さんが泣いていることに気づいたコーチらが練習後に使用したボールをくれた。

　今回、ソウルでの開幕戦も見に行きたかったが、1月に夫婦でオープンしたばかりのカフェの運営がある。チケットも激戦であることから見に行ける可能性は低い。会いたい思いをXに投稿すると、「ソウルでお会いできたら嬉しいです！」との返信が来た。だが、いつ、どこで会うのか連絡は来なかった。

　パドレスの選手たちが韓国入りした15日、李さんが店頭に立っていると突然ダルビッシュ投手が訪れた。「叫びました。感動のあまり2回もハグしてしまいました」と振り返る。そして約1時間、「ファンになった経緯、人として尊敬していること、10年間の思いを全て話しました」

　16年に直接見て泣いた話をすると「気づいていた」と告げられたという。来店時には、その時のボールにサインをしてもらい、スライダーのフォームも直接指導を受けた。「遠い国にいる一人のファンまで大事にしてくれるなんて正直、信じられません。草野球の選手が最高のメジャーリーガーと意思疎通できるなんて」と、投手の来店から数日たっても夢見心地だ。記者が訪れた18日、店内にはダルビッシュ投手から送られたグラブとボールが展示されていた。