中国の若者、「打工人（アルバイト扱いのブラック企業正社員）」なのに「仏系（悟り世代）」だから怒らないし「恐婚族」が増加してしまう

「仏系」「躺平」「45度人生」…「習近平新時代」を支える現代中国の“ふしぎな若者”たちは何を考えて生きているのか（現代ビジネス）
https://news.yahoo.co.jp/articles/a535407913864773faadf40f2b1aebb8601bbd4b

（前略

本で紹介している「34語」の中で、中国の若者を指す言葉が、13単語もありました。具体的には、「社恐」「仏系」「啃老族」「躺平」「yyds」「45度人生」「白蓮花」「猪拱白菜」「潤学」「九九六」「打工人」「外売騎手」「恐婚族」。

（中略

近藤:　「yyds」(永遠の神)という流行語がポピュラーになったのは、今年2月の北京冬季オリンピックの時なんです。女子ビッグエアとハーフパイプで2枚の金メダルを獲った谷愛凌選手を始め、神がかった演技をする中国人選手が続出した。それで「yyds」と盛り上がった。

日野:　それに対して、図々しくておっかない少女を表すのが、「白蓮花」(バイリアンホア)ですね。「白い蓮の花のようだが、本性は違うぞ」というわけですね。

（中略

日野:　そこで現れたのが、「恐婚族」(コンホンズー)。この言葉は、今日紹介している中国の若者を表す13単語の中で唯一、漢字を見てすぐ意味が分かりました。「結婚するのを恐れる若者たち」ですね。

近藤:　ご名答です。この現象は日本とも似ていますが、結婚に対して、ある種の恐怖心を抱く若者たちが増えているんですね。重ねていいますが、男女ともに一人っ子ですし、結婚して得るものと失うものを比較すると、何となく結婚を足踏みしてしまう。

（中略

日野:　でもその一方で、「猪拱白菜」(ジューゴンバイツァイ)という現象も、あるわけですよね。「豚が白菜をかっさらうように、醜男が美女をかっさらっていく」。このくだりを読んでいて、ボクも中国人に生まれればよかったと、一瞬思いました(笑)。

近藤:　そうなんです。私は北京に4年住みましたが、これがよくあるんです。中国社会にはピンチも多いけれど、チャンスも転がっている(笑)。

ちなみに、中国で日本のニュースに関して、「猪拱白菜」が見出しになったことが、ただ一度だけあります。それは、2019年6月5日、山里亮太と蒼井優が電撃結婚を発表した時です。

（中略

日野:　なるほど、まさに(笑)。ただ中国は人口が多いから、競争も激しいわけで、中国で働くのは本当に大変そうですね。「九九六」(ジウジウリウ)「打工人」(ダーゴンレン)「外売騎手」(ワイマイチーショウ)なんかに、そうした状況が表れていると、『ふしぎな中国』を読んでいて思いました。

近藤:　そうですね。「毎日朝9時から夜9時まで、週に6日出勤」という状況を嘆く言葉が、「九九六」です。いまから6年前に、ある大手IT企業が「九九六」を就業規則に定めて、大問題になりました。

ただその後、「〇〇七」(リンリンチー)問題が起こった。ジェームス・ボンドのスパイ映画をもじっていますが、これは「毎日午前0時から翌日の0時まで、週に7日出勤」という意味です。

日野:　うわーっ、それって、「会社=自宅」じゃないですか。もはや、笑えない。「打工人」も、似たような文脈で使われる言葉ですよね。

近藤:　そうです。「打工人」は、アルバイトという意味です。中国の会社では、たとえ正社員であっても、まるでアルバイトのような扱いを受けることがあるという現象を嘆く言葉です。

日野:　要するにブラック企業ですね。

（中略

日野:　それほど若者を取り巻く環境がひどければ、民主主義国ならデモが起こりそうですけどね。やはり「泣く子も黙る」習近平政権下では、デモも起こせない？　

近藤:　それもありますけど、やはり一人っ子世代なので、私の世代のように「肉食系」でなくて、概して「草食系」なんですね。これを中国では、「仏系」(フォーシー)と呼んでいます。「仏のように優しい若者たち」という意味です。

日野:　日本で言う「悟り世代」ですね。

（中略

近藤:　「45度人生」は、今年春ごろから流行り出した新語です。「どうせ自分たちの人生は、まっすぐ上昇していけない『45度人生』さ」などと、若者たちが自虐的に使う言葉です。

年配者の頑張りによって若い者は牙ぬかれて羊の群れになりました