吉村知事「選挙の恩は選挙で返す」非自民候補を支援

衆院選（３１日投開票）で、山形県内３小選挙区の非自民党系候補３人の支援に乗り出した吉村美栄子知事。事務所来訪が主で応援演説する場面はまだなく、自民陣営へ一定の配慮もにじませる。

吉村知事は２３日に山形２区の国民民主党新人、２４日は３区の無所属新人、１区の立憲民主党新人の事務所などを立て続けに訪問した。イメージカラーにしているオレンジのジャケット姿で候補者と肘タッチを交わし、陣営を鼓舞した。

　１区では選挙カーで出発する候補者を手を振って見送り、３区では新庄市で開かれた拡大選対会議にも出席した。

　吉村知事は２００９年の初当選以来「選挙の恩は選挙で返す」を信条に、国政選挙で自身を支援した候補者を応援してきた。１３、１７年と知事選で無投票が続き中立を保つことも増えていただけに、前のめりの姿勢が際立つ。

　援軍を得る形となった各陣営は沸き立つ。候補の一人は「支持者に『党ではなく人柄を見て応援して』と言ってくれた。（効果は）絶大だ」と喜ぶ。別の候補は非公開会合の動画を公開。陣営幹部は「広く伝われば選挙戦にプラスに働く」と知事人気にあやかろうと懸命だ。

　対照的に、３区全てで相対する自民陣営は知事への不快感をあらわにする。支援候補のうち２人は県議会で知事を支持した元県議。陣営幹部は「知事選で『県民党』を掲げた知事が、政党で支援を決めるのか」と皮肉る。

　県議会では最大会派の自民が過半数を占める。知事は１月に４選を果たした後、当時の副知事の再任案が賛成少数で否決されてもいる。衆院選後の県政運営を考慮してか、知事が激励に訪れた先での会議や会合は全て非公開。終了後も報道陣の取材に応じず、足早に去った。

　知事が再び応援に向かう動きは今のところ見えない。支援を受ける陣営の関係者は「（知事は）自民候補に気を使っているのだろうが、街頭でもマイクを握ってほしい」と期待を寄せる。

https://kahoku.news/articles/20211027khn000010.html