東京Ｋｉｔｔｙの思い出

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動き出したパソナ：下　住民との微妙な距離感、課題に

パソナグループが本社機能の移転を進める兵庫・淡路島北部には、同社のアニメパークや商業施設が相次いで開業している。自治体との連携や商工団体への参加を通じて「地方創生」を打ち出し、地元への浸透を図りつつある。だがその手法をめぐり、住民との間には微妙な距離感も漂う。

　神戸市内から車で高速道路を走って３０分余り。明石海峡大橋を渡ると淡路島だ。海岸沿いに１０分ほど行くと、地中海の邸宅風の建物が見える。パソナが運営する「クラフトサーカス」というレストランだ。併設する雑貨店２階には南部靖之代表（６９）のオフィスも入る。周辺にはキャラクター「ハローキティ」をテーマにした同社の商業施設などもある。地元で「西浦」と呼ばれ、海からの風で住宅地に向かないとされてきた地域だが、最近は「西海岸」とも言われ、島外から観光客が訪れる。

　人口減が続く地元自治体は都市近郊の立地を生かして観光客誘致を進めた。こうした動きに着目したのがパソナだった。国は２０１１年、兵庫県や淡路市など３市を地域活性化の特区に指定し、パソナはその協議会のメンバーにも名を連ねる。島への観光客数は１９年度に１２６０万人と、１０年間で２００万人超増えた。自治体関係者からは、パソナが一役買ったとの評価もある。

　観光に加え、本社機能の移転でも島の経済に影響を与え始めた。社宅用に昨秋、２５０室分の賃貸物件を借り上げた。不動産業の男性は「最初はよく分からない黒船と思っていたが、今や宝船だ」と歓迎する。

　だがパソナの動きのすべてが住民に受け入れられているわけではない。

　農産物販売店やレストランを備えるパソナの施設「のじまスコーラ」。島で廃校になった旧野島小学校を改装した。１１年に実施された公募で、所有する淡路市は土地と建物をパソナ子会社に無償譲渡した。応募したのはその子会社だけ。築２４年で耐用年数は残り２０年近くあった。淡路市は「事業者は適正な手続きを経て決めた」と説明する。だがパソナは施設の集客目標や実績を公開しておらず、同市も「把握していない」。旧野島小に息子を通わせたという７０代の男性は、「まだ使える建物だったのに、なぜタダなのか」といぶかしがる。

　かつて国内の地域活性化に貢献したのは主に大手メーカーの工場だった。島にも三洋電機（現パナソニック）の電池工場などが、１千人規模の雇用を生んだが、その製造業の勢いはなくなった。代わりに期待されてきたのが観光や物販といったパソナの得意分野だった。だが業種にかかわらず、企業が地域で事業を展開していくには、住民らの理解や経済的メリットの還元が欠かせない。島への進出をさらに加速する考えのパソナにとって、どう距離を縮めていくかが重要な課題だ。

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