野田佳彦「安倍さんを「神格化」する議員発言や報道があるのは気になる。虎の威を借るような政治家や識者が目につく」

安倍氏死去　光と影問い続ける野田佳彦元首相　「答えるのは岸田氏」
https://mainichi.jp/articles/20230708/k00/00m/010/235000c

安倍晋三元首相が銃撃され死亡してから8日で1年となった。日本の政治はこの1年でどう変わったのか。「安倍政治」とは何だったのか。与野党関係者や有識者に聞いた。

　◆安倍さんの実績の光と影は、1年で区切ることなく、長い期間しっかりとチェックすべきだと思う。ただ、一周忌を前に議員の発言や報道記事などで、安倍さんを「神格化」するものがあるのは気になる。「安倍さんだったらこうしただろう」という論調が多い。虎の威を借るような政治家や識者があまりにも目につく。

　◆外交で長期政権はプラスだ。特に日米関係でオバマ、トランプ両大統領と深く付き合えたことは、なかなかできることではなく、これは光として見るべきだ。一方でロシア外交では2016年に8項目の経済協力プランに合意し、北方領土での共同経済活動まで協議してプーチン大統領にサービスしようとしたが、結局、石ころ一つ返ってこない。北方領土について「4島一括返還」から「歯舞群島・色丹島の2島返還」へと発射台を低くしてしまった。これは間違いなく影だった。経済では、アベノミクスで、日銀が物価上昇率2％を目標とするなど明るい空気をつくった。株価は上がったが、生活実感として景気がよくなったとは思えない。トリクルダウンは起こらず格差が拡大し、副作用の方が大きく、検証しなければならない。岸田首相は安倍さんのカラーから抜け出せないでいる。
(略)