対話型AIに政府見解を中心に学習させて対立する見解を偽情報として規制すれば世論をコントロールできてしまうのか

【チャットＧＰＴ】利点と課題念頭に（４月１４日）
2023/04/14 09:08

　人工知能（ＡＩ）を使った対話型ソフト「チャットＧＰＴ」を巡る論議が熱を帯びている。文書作成の効率化などが期待される一方、思考力の低下といった懸念も指摘される。利用者は世界で一日延べ１億人を超えるとされ、県内でも今後、利用が広がると見込まれる。現時点での利点と課題をしっかりと認識し、最終的には自ら判断する主体的な姿勢を心がけたい。

　チャットＧＰＴはインターネット上の膨大なデータを学習し、利用者の求めに応じて違和感のない文書を生成する。資料づくりを円滑に進められ、省力化につながる。ただ、頼りすぎると誤りを見落としかねない。個人情報や企業の機密が流出したり、偏った論調が拡散したりする事態を危惧する声もある。

　東京電力福島第１原発の廃炉の課題を「処理水」関連で質問した結果、『大量の処理水タンクが廃炉作業の障害になっている。一刻も早く海洋に放出する必要がある』との回答があったと仮定してみる。原因と結論に矛盾はないが、政府、東電と被災地の情報が適切に反映されなければ、風評の上積みという被災地側の深刻な懸念が抜け落ちかねない。どんな場面で使うのかにもよるが、学びの入り口として活用したり、自ら探求したりする心構えがまずは大切だろう。

　文部科学省は学校での取り扱い指針を年度内に作成する方針だ。吸収力が豊かな時期は、自ら考える力を高める教育が重要と言える。教員の新たな負担も考慮すれば当面、限定的にならざるを得ないのではないか。

※略※

https://www.minpo.jp/news/moredetail/20230414106361