日本人、在日ロシア人やロシア料理店に無言電話やグーグルマップなどで嫌がらせをしてしまう

言葉の暴力だけではない。東京・銀座のロシア食品専門店「赤の広場」は侵攻開始後、店の看板が何者かに壊される被害にあった。

店側はツイッターで、従業員にロシア人はいないとした上で、「私たちがどんな国の出身者でも、お店と政治につながりはありません」と訴えた。

同店によると、その後も１日に２～３回の無言電話がかかってきたり、通販サイトでキャンセルを繰り返されたりする被害が続いている。

担当者は「ロシアに対して憤りを感じているのは分かるが、『ロシア』とひとくくりにせず、いろんな考えを持っている人がいることを理解してほしい」と強調する。

「国と個人を分けて」

ネットの誹謗中傷問題に詳しい国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授（ネットメディア論）は、ロシアのしていることは到底許されないとしつつも、「『ロシア人』とひとくくりにして誹謗中傷・攻撃する行為は差別で、いついかなるときも許されない」と指摘する。

ネット上では「プーチン大統領を選んだ国民にも責任がある」との考えから、一般のロシア人を否定しがちな人も存在する。

山口氏は「国と個人とを切り分けて考えることが重要。自分が同じ立場だったらどう感じるかを想像することから始めないといけない」と呼びかける。

世界人権問題研究センターの坂元茂樹所長（国際人権法）も「ロシア人だとしても、必ずしもプーチン大統領と同じ考えを持っているわけではない」と述べ、誹謗中傷をやめるよう求めた。

こうした事態を受け、ＳＮＳではロシア人への差別を止めようと、「＃ＳｔｏｐＲｕｓｓｉａｎＨａｔｅ」とのハッシュタグ（検索目印）をつけた投稿も増えている。