トルコ、通貨が暴落しているにも関わらず政府が低金利・財政拡大にこだわったせいで経済崩壊してしまう。これって…

豊かな歴史と文化、勤勉な国民性を持つトルコが、なぜこれほどまでに苦しんでいるのでしょうか。

その最大の原因は、2018年の通貨危機以降に続いた「経済政策のミス」にあるとされています。

エルドアン政権は、経済の常識とは逆行する「低金利政策」に固執し、物価高騰をさらに煽りました。

さらに、本来は独立しているべき中央銀行の人事にまで政治が介入し、金融政策の信頼性を著しく損ないました。

ポピュリズム（大衆迎合主義）的な財政拡大も、インフレと通貨安に拍車をかけました。

「政治が経済に過剰に介入し、正しいブレーキが踏めなくなった」ことが、今日の苦境を招いた主因と言えるでしょう。
「他人事」ではない。日本に住む私たちへの警告

さて、ここからが本題です。トルコの現状は、決して「遠い国の話」ではありません。むしろ、私たちの未来を考える上で、重要な教訓に満ちています。
１）インフレの「静かな脅威」—いつ爆発するか？

今の日本は、トルコほどの高インフレではありません。しかし、物価上昇がじわじわと家計を圧迫し、実質的な購買力が低下している構図は全く同じです。

特に日本は食料自給率が低く、エネルギーの多くを輸入に頼っています。世界的なインフレや地政学リスクの高まりは、私たちの生活をいつでも直撃します。トルコの事例は、「インフレの定着」が生活を急変させるかを教えてくれます。

「もしも」の事態に備え、食料の備蓄や、インフレに負けない家計（収入源の複線化や資産運用など）を構築する必要性が高まっているのではないでしょうか。
２）貯蓄が目減りする時代の到来

インフレが続けば、銀行預金の価値は実質的に目減りしていきます。

日本の家計貯蓄率は現在2～3％と、非常に低い水準にあります。購買力の低下に備えるためには、これまで以上に意識的な貯蓄と、それをインフレから守るための「投資」という視点が不可欠になります。
３）「日銀の独立性」がカギ－生活の最後の砦

トルコ経済が崩壊した引き金は、「政治による中央銀行への介入」でした。翻って、日本ではどうでしょうか。

今、日本銀行は物価安定のために金融引き締め（利上げ）の道を慎重に歩み始めました。しかし、利上げは景気を冷やす可能性もあり、政府や世論から「利上げを急ぐな」という政治的圧力がかかることも考えられます。

もし、トルコのように政治的圧力が日銀の正しい判断を歪めてしまったら…？

その時、日本の円や物価も、今のトルコと同じ道を辿らないと誰が言い切れるでしょうか。日銀の動向と、その独立性が保たれているかどうかに注目することは、私たちの生活を守る上で極めて重要です。